元ネタ THE BOOK STANDARD August 18, 2006MANGA(マンガ)。これまでも、多くの図書館に受け入れられているという記事などで、アメリカでの人気ぶりを紹介してきましたが、今日はそのアメリカのマンガ出版業界に君臨する2つの巨頭、TokyoPop社とVIZ社が市場を支配しているという現地記事を紹介します。
(ここからは僕の少ない知識と憶測で書いてます、鵜呑みにはしない様お願いします)
TokyoPop社は日本在住の経験もある日本語ペラペラの男性が、日本でのマンガ好きが高じて立ち上げたマンガ出版社だったと思います。それ以前にもマンガはアメリカで販売されてはいました。しかし、アメリカのコミックというか本は全て左から右に読むのでマンガとは逆になります。そこでマンガの絵を鏡に映したように反転させて印刷し左から読めるように出版していました。さらに値段も1500円ぐらいが主流だったようです。それらが原因かどうかは分りませんが、あまり人気は出なかったようです。そしてそんな状況の中に現れたのがTokyoPopです。
彼らは『 正真正銘100%本物のマンガ 』と銘打ち、マンガの絵を反転させずそのまま印刷しました。つまり、アメリカでは考えられない本を後ろから前へ(右から左へ)読ませるという冒険に出たのです。さらに、マンガによく使われる擬音(ズキューンとかそうゆうの)も翻訳せずに、そのまま日本語で印刷しコマの外に小さく説明を入れる事でオリジナルを損なわないようにしました。その上で1000円という当時では価格破壊的な値段設定で、アメリカの出版業界に殴りこみました。
TokyoPopの『 正真正銘100%本物のマンガ 』は当時のアニメブームにも助けられてかなり売れたようです、お陰で会社もどんどん大きくなりました。もうアメリカでマンガといえばTokyoPopという感じだったはずです。他の出版社もTokyoPopを真似たマンガの出版をするようになりましたが、TokyoPopの優位は揺らぎませんでした。ところが、TokyoPopにすればそれは反則だろ!というライバル会社が現れたのです。
それがVIZ Media社です。
VIZは小学館、集英社という日本漫画界の竜虎が資本を出して作った会社です。(たぶん)当然、小学館と集英社の漫画はVIZで独占です。TokyoPopが苦労して交渉し日本の出版社から版権を獲得するなか、VIZは何の努力もせずに面白い漫画が手に入るのです。これでは勝負になりません。VIZはわずか数年でTokyoPopに追いつき、今回紹介する記事を読むと既に追い越したようです。これからもその差はどんどん広がり、今の2強時代からVIZの1人勝ちになると僕は思います。
日本の会社がアメリカで成功するのは僕としても大変嬉しいです。
しかし、このケースはどうしてもTokyoPopに同情してしまいます。
何といっても、現在のアメリカでのマンガ人気はTokyoPopの努力によるところが大きいですから。アメリカ人にマンガをオリジナルのまま右から左へ読ませる事に成功し、マンガの大きさを今のサイズに定着させ、値段も1000円という低価格でも成功するという事を証明して見せた。
僕が外務省か文化庁の役人なら、TokyoPop社に対し表彰してあげたいぐらいです。アメリカにマンガを根付かせた後、美味しい所を持っていかれ消えていく。泣ける良い話じゃないですか!映画化決定ですよ。
(イヤたぶん消えないし、ここまでの話はあくまで僕の憶測ですよ。念のため)
もう少し書きたいのですが長くなったので今日はこの辺で。
肝心の記事ですが、売上げチャートの順位だとか何冊売れたとか数字ばかりであまり面白くないです。ぶっちゃけると、ただTokyoPop社を語りたくてこの記事を引っ張ってきました。でも、2005年の売上げNO.1がハガレンの1巻で68,000冊とか、最後の方でシンプソン・カレンダーが何故かコミックランキングに入っていたりと興味深いとこもあったり、なかったりです。
A Look at Comics & Graphic Novel Chart Toppers: 2005-2006
Comics & Graphic Novelチャート・トップランカー調査:2005-2006いつなんどきでもマンガ出版社は、第1位の座をつかめる人気シリーズの最新刊をリリースする事ができるが、結局は、競合する作品か同じシリーズの次の巻によって、すぐにその座を奪われるだろう。それに、もしかするとスーパーヒーロー映画が台頭して(その原作のコミックが人気となり)、長年売れ筋だった現存のグラフィックノベルに取って代わることもあるかもしれない。
しかしながら、1つだけ首尾一貫している事がある。
それはTokyoPop(トーキョーポップ)とVIZ(ヴィッツ、注:日本の小学館と集英社が設立?)がこの業界を支配しているという事だ。彼らの大多数のタイトルが、第1位に達しているのだから。
今週、TokyoPopのドル箱(フルーツバスケット、原作・漫画、高屋奈月)の14巻が、Comics & Graphic Novelsチャートにおいて、2週連続でトップの座に着いた。フルバ・シリーズという強力ラインナップは、2500年に15週でチャートのトップに立った。(他のどんな作品よりも多い)そして、今年もこれまでに6週でトップだ。
(中略)
リリースされたフルバ13巻のうち、12冊はNo. 1ヒットとなり、創刊号の1巻だけが孤独な例外(ピーク時で第2位2004年2月)となった。 それらのシリーズ全体の売上数を合算すると887,000冊以上になり、2006年はこれまでで256,000冊に昇る。フルバの7つの巻は、去年の20トップセールスComics & Graphic Novelsに入った。TokyoPopは2005年と2006年のこれまでに、他の2作品でもNo. 1ヒット(D.N. Angelの2つの巻、Kingdom of Hearts第4巻)を輩出している。Kingdom of Heartsシリーズはディズニーキャラクターと良く知られているロールプレイングゲームの要素を組み合わせており、大変に人気のあるプレステ2用のスクエア・エニックスのビデオゲームを原作としている。
TokyoPopが高い売上げを誇るとはいえ、トップセールスチャートはライバルのマンガ出版社VIZが明らかに支配している。VIZは2005年の初めから別々の38週でトップを取り、最近ではComics & Graphic Novelsチャートのトップ10のポジションを独占(2006-5月最後の週)した。単独の出版社では初めての達成で、画期的な出来事だった。VIZの最近のキラーコンテンツ(岸本正志のナルト)は現在、6つの巻がチャートの15位までに入っており、2週間前にはシリーズ10巻の全てがランクインしていた。
ナルトに加えて、VIZの幅広い作品群には和月伸宏のるろうに剣心や、荒川弘の鋼の錬金術師(共にアニメシリーズがカートゥーンネットワークでのヒットに伴い人気化)のような人気タイトルも含まれている。鋼の錬金術師の第1巻は、2005年5月1日の週で第1位というデビューを飾り、68,000冊を売上げて去年のトップセールスタイトルになった。2005年に鋼の錬金術師の4つの巻の売上げは167,000冊以上になり、2006年にはこれまで8つの巻全てで181,000冊
を売り上げた。鋼の錬金術師はスクエニによって2つのビデオゲームも販売されており、アニメDVDもFUNimationを通じて、いたるところで手に入れる事ができる。
2005年初頭からのNo. 1タイトルに注目してみると、VIZは38週でトップであり、その意味するところはベストセラーのコミックタイトルの45%を握っているということだ。その後にTokyoPopが続き、25週(30%)でトップを取った。この抜きん出た2つのマンガ出版社を会わせると、63週でトップとなり、
84週間のスパンの間で75%のシェアを持つ事になる。
2005と2006年にComics and Graphic Novelチャートのトップに立った他社のシリーズは、Del Rey社のツバサ(CLAMP)、Harpercollins社のThe Trivial Simpsons 2007 365-day Calendar(Matt Groening)、Dark Horse社の映画化されたSin City(Frank Miller)、そしてDC Comics社のV for Vendetta(Alan Moore)がある。
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