あのニューヨークタイムズがANIMEの記事を書いてました。
批判記事かなーと思いつつ読んでみると、アニメの英語吹き替えに関する現状みたいな記事でした。この英語吹き替え(dub)というテーマは僕も前から興味がありました、といのも海外のアニメファンにはオリジナル(日本語・無修正)原理主義ともいうべき人達がかなりの数いるようなのです。特にコアなアニメファンは英語の吹き替えなど邪道で、日本語に英語字幕でアニメを見るのが当然だという人ばかりです。
北米版のアニメDVDを観てみると気付くのですが、英語の声優さんの声としゃべり方、そして演技までが日本の声優さんとそっくりな事がよくあります。あずまんが大王の千代ちゃんなんて日本の声優が英語でしゃべってるのかと思いましたよ。なんでこんなにそっくりなの?と最初は思ってたんですが、色々海外の掲示板を見てみるとどうやらアニメファンからの要望や抗議がそうさせるんだろうなと薄っすら分りました。そしてこのNYTの記事はそのことを確信させてくれましたね、実際に英語吹き替えを仕事としている人達の生の声を伝えてくれていますから。あーやっぱりか、という感じです。DVDを買ってくれるコアなアニメファンの趣向は、米国の配給会社も無視できないですものね。そんな生臭い話がメインですが興味深く読めました。ちょっと長いので今回は半分だけです・・・申し訳ない。
The State of the Art of the Anime Dub
英語吹き替えアニメの最先端
アメリカ人(特に若い世代は)は、日本のアニメーションが大好きだ。アニメは、テレビでますます人気が出てくる。そして英語吹き替えの品質ほどアニメ視聴者の楽しみにとって重要なものは無い。良い吹き替えは、物語の質を高め登場人物達に命を吹き込むが、下手な吹き替えは、音程の狂ったコンサート上演と同じぐらい耳障りなものだ。
米国版アニメシリーズの作成は、言葉と文化の違いを乗り越えるようとする
アメリカの作家やプロデューサー、役者といった高度に専門化した業界に、頭の痛い小さな問題を引き起こしている。一つには、西洋人は原作に忠実過ぎる翻訳台本を文字通り理解できないかもしれない。しかし、もし英訳版の台本を原作から外し過ぎると、オタク達(筋金入りのアニメファン)が異議を唱えるだろう。大幅に編集された『カードキャプチャーさくら』が『Cardcaptors』としてKids' WBから登場した時を例に取ると、その脚本と登場人物の変わりぶりにアニメファン達は怒りネットで抗議を開始したのだ。
アニメはアメリカの番組が見せるものより、もっと幅広く数多くのシチュエーションやキャラクターを見せてくれる。そしてしばしば、より複雑な声の性格描写を必要とされている。『鋼の錬金術師』で追い詰められたエドワードとアリフォンスのエルリック兄弟の見せる激しさ、『カウボーイビバップ』でスパイク・スピーゲルが見せる傷ついた心を守る為の皮肉、『るろうに剣心』では、侍の矜持ゆえの強がりと喜劇のようなおどけた仕草をコロコロと変えてみせる放浪の剣士の緋村剣心、このような演技は、これまでハンナバーバラSHOWでは要求されたことはなかった。
「私達が新しいアニメシリーズをスタートさせる時は、まず部下が翻訳に取り掛かり、それから作家の1人が英語の台本の準備をするのです。」とヒューストンにあるADV Filmsのドン・ラッシュは言った。「私はそのアニメを観た上で台本を入念にチェックし、キャラクターの感触を掴んでいきながら声優の配役について考えますね。それからオーディションを開きます。アニメを劇的に改悪するのは本当に簡単なことだと思います。世のTVメロドラマを見て御覧なさい、それらは恐ろしく大袈裟ですから。だから私は、お涙ちょうだいの話にならずに説得力のある印象を与えようと懸命に努力していますよ。」
キャスティングにおける重要な決定事項は、英語の声をオリジナルの日本の声にどれだけ近づけるべきかということ。アニメファンはできる限り日本の声とそっくりにする様に望むのだが、子供っぽく甲高い一部のアニメヒロインの声は西洋人の耳をきしませる。それに、ロングヘアの中性的なbishonen (美少年)のようなキャラクターにピタリとはまるアメリカ人の声優がいないのだ。
「私はオリジナルに似てるかどうかよりも、演技そのものを優先する傾向があるかな。」ロサンゼルスにあるフェーズ・エンターテイメント社の社長ケン・デュアは言った。「だが、結局はクライアント次第だ。私が『ルパン三世』の仕事をしていた時、顧客はオリジナルに似ている声を求めてきたので、私達は日本の声優に似ていて上手い声優を見つける為にたくさんのオーディションをやったよ。」
英語音声の録音時、声優は元々日本語の会話に合わされた口の動きに、そのキャラクターの英語のセリフを合わせなければならない。「それがこの仕事の1番大変な部分だね。」と『フルメタルパニック・ふもっふ』の高度な訓練を受けた末期的な鈍感ヒーロー、宗助の声優クリス・パットンは言った。
「もし君が演技と物語を語ることに情熱を抱いているとしたら、オリジナルの口の動きに合わせるしか無いという現実は、君自身が君を縛り沈ませることになるよ。」
それぞれの声優はアニメの口の動きに同調させることに、より大きな集中力を傾ける為に1人きりでレコーディングを行うので、必要なはずのキャラクター間の雰囲気を生むことが難しい。例えば、爆笑アニメ『FMPふもっふ』での宗助と短気なカナメ(ルーシー・クリスチャン)の二入の間が対立してるようで実は恋愛関係というようなものは。
「もし私がルーシーに最初に読ませたら、クリスは何かしら不満をもつだろうな。」とラッシュ氏は言った。「そうすると私はハッキリと彼に言えるからね、『そこは彼女と本当に話してる様に聞こえなかったよ。』とか、『ちょっと彼女に怒り過ぎだね。』なんてね。それにもし私があるシーンの雰囲気が気に入らなかったら、その部分をやり直すこともできる。でもまあ、そんなことは滅多にないけどね。」
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